画集『たどる』と写真集『ひらく』

画集『たどる』と写真集『ひらく』

〈画集『たどる』〉
サイズ:天地265mm × 左右210mm
ページ数:本文112頁
表紙:段ボール古紙原料板紙(2mm厚)
本文:ユーライト(939×636mm/93.5kg・76.5kg)
見返し:タント(1091×788mm/130kg)
仕様:糸かがり製本・コデックス装

〈写真集『ひらく』〉
サイズ:天地265mm × 左右180mm
ページ数:本文32頁
表紙:タント(1091×788mm/180kg)
本文:ユーライト(939×636mm/93.5kg)
仕様:アジロ製本

〈パッケージ〉
画集と写真集をまとめる透明PET特装ケース。
二冊を重ねて収納させ、ひとつの作品世界として完結するデザイン。
制作年:2025年8月

墨田区在住の星野結紗さんから「祖母の絵画を一冊にまとめたい」というご相談を受けて始まったプロジェクト。半世紀にわたり描かれた100点以上の絵を祖父が撮影・データ化し、星野さんが編集を担当しました。星野さんは学生時代、研究を通じて墨田のものづくり文化に触れた経験から、当社を製本パートナーに選んでくださいました。

制作では100部限定という条件下で小ロットでも高精度を維持するため、UVインクジェット印刷とオンデマンド印刷を併用。繰り返し試作を行いながら、構造と質感の最適なバランスを探りました。表紙には段ボール古紙原料板紙(2mm厚)を使用し、本文には柔らかな手触りのユーライト、見返しにはタントを採用。糸かがりのコデックス装によりページが180度に開く構造を実現しました。

完成したのは、祖母の画集『たどる』(265×210mm・112頁)と祖父の写真集『ひらく』(265×180mm・32頁)の二冊構成。ITO BINDERYのドローイングパッドを思わせる厚板デザインで、重ねると山のイラストがひと続きになるよう設計。

両冊をまとめる透明PET特装ケースによって、家族の記憶と技術が静かに交わる作品が完成しました。