Vol.17 紙と向き合う。

私たちは紙を作っていません。
ITO BINDERYのオリジナル商品には、日本国内の工場を指定してつくられた紙を使用して
います。お客様からお預かりする紙も、国内のあちらこちらから届きます。
そして毎日、それらの紙を見て、触れて、製品へと変えています。

毎日同じように見える紙。
けれど、私たちは同じとは思っていません。
気温や湿度によって、少し伸びたり、少し縮んだり。水分を含みすぎると波打つこともあれば、反対にとても乾燥している日や、直射日光があたり続けると反り返ることもあります。
そう、季節やその日の工場の空気によって、紙は少しずつ変化します。
まるで、工場の空気を吸い込むように。

「紙の湿度を一番感じるのは、どんな時ですか?」
工場長に聞いてみました。
「印刷されたものも、紙の仕入れ会社から届いたものも、包みを開いて、しばらく置いていた時。」
包まれていた紙が外へ出て、工場の空気に触れる。
しばらくすると、辺りの空気をスーッと吸い込むように、紙に少しずつ変化が表れます。
紙に触れた瞬間に「今日は違う」と感じるわけではないそうです。

包みから出した紙が工場の空気に触れ、時間とともに変化していく。その様子を見ながら、次の加工へと進めていきます。
そして、すぐに次の工程へ進まない紙は、また包んでおきます。
お昼休みの間。
あるいは、今日の作業を終え、続きはまた明日という時。
加工途中の紙には、一枚のあて紙をそっとのせておきます。
紙が落ち着くように。
長期休暇の前には、包んだ紙をさらにラップフィルムで巻いて保護することもあります。
次に加工を始める時まで、できるだけ紙の状態を変化させないためです。

波打ったり、反り返ったりした紙には、重りや板紙を使い、均等に力を加えることもあります。
積み重ねられた紙は、下へいくほど状態が落ち着き、空気に触れやすい上の紙には変化が出やすいそうです。
また、乾燥する季節には静電気が起こり、紙が揃いにくくなることもあります。機械から一枚ずつ送り出したいのに、紙同士が離れにくくなることも。
そんな時も、紙の様子を見ながら対応していきます。
紙の種類によっても違う。
印刷された後の状態によっても違う。
気温や湿度によっても違う。
「この紙なら、こうすれば大丈夫。」
いつも同じ答えがあるわけではありません。
目で見て、手で触れ、その時の紙の状態に合わせながら、次の工程へと進めていきます。

日々、当たり前のように行っている小さなひと手間。
紙を包んでおくことも、あて紙を一枚のせることも、そのひとつです。
毎日同じように見える紙。
けれど、その日の紙は少しずつ違います。
その変化を見ながら、できるだけ良い状態で次の工程へつないでいく。
紙と向き合うことも、私たちの日々のものづくりです。

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