
紙を揃える
Memo Blockの側面を指でなぞると、紙が何百枚も重なっていることを忘れるほど、ひとつの面として滑らかにつながっています。この断面は、断裁機で切ればできあがるものではありません。
紙を重ねる。その位置を合わせる。空気を入れる。紙の癖を見ながら整える。そして次の工程へ渡す。製本の仕事には、ひとつの製品ができあがるまでに、何度もの「揃える」があります。
紙に合わせて、揃える
大きな紙と小さな紙。厚い紙と薄い紙。縦目と横目。印刷された紙。
同じように見える「揃える」という作業でも、紙質や時期によって手の動かし方や扱い方は変わります。
断裁前の大きな紙は、一枚一枚の間に空気を入れながらさばき、揃えていきます。
薄い紙なら、より多くの空気を入れる。厚い紙なら、振動と空気を使うことで揃いやすくなる。紙が縦目か横目かによっても、揃えやすさや揃え方は変わります。例えば、横目の紙を揃える場合、手の位置は大きな紙の手前を持ちさばいていきます。一方縦目の場合、紙により多くの空気を入れるため、対角の角を持ってさばいていきます。


パレットの下の方に積まれていた紙は、上からの重みで空気が抜け、紙同士が張り付いていることもあります。その場合は、上に積まれていた紙よりも意識して空気を入れる必要があります。
ただ、空気を入れれば入れるほどよいわけでもありません。さばきすぎると、揃え機に入れた際、空気を抜くローラーが下りたときに紙にしわが入ってしまうこともあります。
紙の状態を見ながら、どこまで空気を入れるのかを変える。 同じ「揃える」という仕事の中でも、その加減は一枚一枚の紙によって違います。
機械の前に、人の手がある
紙を揃える仕事は、すべてを機械だけで行えるものではありません。
揃え機や断裁機を使う工程でも、紙を持ったときの感触を確かめる。空気の入り方をみる。など手で触れて、断面のわずかな凹凸を確かめていくのです。
機械に任せるところと、人の手で整えるところ。その間を行き来しながら、紙の状態に合わせて少しずつ調整していきます。
同じ紙であっても、その日の状態までまったく同じとは限りません。だからこそ、人が紙に触れ、その状態を見ながら微調整していくことが必要になります。
次の工程のために
「紙をしっかり揃えることは、次の工程をより正確に導くこと。」
工場で話を聞いていると、「揃える」は紙をきれいに整えるだけの作業ではないことがわかります。
もちろん、断裁をするためにはきちんと揃えなくてはなりません。断裁を終えた紙は、次の加工へ進むために揃える。

もちろん、揃えるのは断裁するときだけではありません。
折り機へ紙を入れるときにも揃える。

折られて出てきた折帳も揃える。折り上がった紙は、空気を抜くようにしっかりと押さえ、決められた部数ごとに揃えて積んでいきます。それは次の工程へ運ぶときに、荷崩れを起こさないため、またそのまま梱包されていくのにしっかりと包むことができるようにするためです。
中綴じ機では、決められた幅の中へ紙をセットするため、きちんと揃っていなければ紙詰まりにつながることもあります。
ひとつの工程が終わると、また揃える。
そうして紙を整えながら、次の工程へと渡していきます。
ごまかせない断面
Memo Blockでは、この「揃える」が仕上がりに直接つながります。
揃えた面が、そのまま糊を塗る面になるからです。
紙がきちんと揃っていないまま糊を塗っても、その凹凸を糊で埋めることはできません。乾いてしまえば、あとから揃え直すこともできない。
だから、糊を塗る前の段階で、紙がきちんと揃っている必要があります。
何百枚もの紙が重なりながら、ひとつの滑らかな面に見えるMemo Blockの断面。
その仕上がりは、最後の断裁だけでつくられているものではありません。
その前に何度も紙に触れ、揃え、確かめてきた仕事の積み重ねが、最後の断面に表れています。

見て、触れて、揃えてみる
現在開催中の「すみだ五彩の芸術祭」では、こうした製本の仕事にある「揃える」の一部を、実際に紙に触れながら体験していただけます。
紙を自分の手で揃えてみる。
揃えたあとの断面を見てみる。
そして、製本の現場で揃えられた紙や、断裁機で仕上げられた断面と見比べてみる。
普段、完成した製品からはなかなか見ることのできない、製本の途中にある仕事です。
工場では今日も、紙を揃えています。
どんな「揃える」をしているのか?それは、みなさんが工場にいらした際、ぜひご覧ください。
